手中の雪 渡辺 愛 個展
つかんだ雪の さすような熱さを 覚えていない
2022.6. 25{土} ー7.18{月} 土・日・月曜日 12日間開廊
10:00 ー12:00 13:00 ー17:00
※1時間滞在人数8名までの入場制限があります
※ 定員に達しましたら駐車場にてお待ちいただきます
「その時にしかない モノや場面との出会いは、時に各個人の体験を通して感覚や記憶となる。出会いは平等かつ偶然的に起こる出来事である。毎秒ごとに取得され、海馬へと塗り替えられる新たな情報により意識的、無意識的に記憶の体系が構成される。しかし大半の記憶は手のひらからこぼれ落ちていく様で、新鮮な印象を与えた出来事でさえいつしか脳裏を横切らなくなる。それは雑踏の路肩に寄せられた無目的な形態の白や茶色の残り雪のように、気づけば溶けて跡形もなくなる。確かにあったのに忘れ去られてしまっている出来事、手の中からこぼれ落ちてしまった記憶のトレースをギャラリー無量でのインスタレーションで試みようと思う。」
以前住み慣れていた東京は、忙しさや人や物で溢れている。同時に大きな都市特有の空虚感や疎外感を覚えるが、しかしそこで生み出される活気は半自動的に呼吸とともに肺から脳へと送られ、意識下で脳へと染み込んでくる。
対して富山は、自然が豊かで、街の動きもゆったりとしている。そこでは刺激や情報の氾濫にさらされない。受動的な姿勢では何かしらがインプットされることはなく、怠惰な脳からは何一つアウトプットできずにいる。フラストレーションが灰色の雲のように頭上に架かり、密かにたまっていくのをただ眺めていた。
しかし最近、大雨が降って雲が晴れたようだ。
(渡辺 愛)
関連事業 ◉ dialogue event
2022.7.2{土}.15:00〜
本郷 仁(富山ガラス造形研究所 主任教授)× 渡辺愛
テーマ: 未定
※参加人数15名までの入場制限があります