企画概要
「キュレーション公募展2024」では、キュレーターによる企画案を募集します。選定されたキュレーションは2024年(来年)にギャラリー無量で実施の予定です。
全国でいろいろな展覧会が行われ、記憶の中に留まるものや忘れ去られていくもの、多くの展覧会が消費されていきます。もっともらしい「社会への問いかけ」を自負し、「友・敵理論」を克服すべく、価値観の変革を「新しさ・個性」で武装して企画された展覧会がヨタヨタとよろけている様に見えるのは何故でしょう。現代アートが「コンテンポラリー」を見出せていない様に思われるのは何故でしょう。
そして今、時代の大きな転換期(コロナ禍・ウクライナ侵攻)を迎えている時、根本から展覧会のあり方を再考する場面に立たされているのではないかと思われます。アートに緩やかな役割があるならば、その役割を再評価し現在の閉塞感やとらわれから抜け出す方法(キュレーション)を見つけ出す、キュレーターが必要です。
ギャラリー無量では2021年、第1回「キュレーション公募展2020」を実施致しました。コロナ禍の中で1年伸びましたが、選定されたキュレーター松江李穂氏の「A STEP AWAY FROM THEM 一歩離れて」です。人や物との距離を置くことが声高に叫ばれた時期だからこそ、一歩離れた=少し距離をおいた、いつもとは違った視点を取り入れることの大切さを強く意識したキュレーションでした。第2回「キュレーション公募展2023」選定されたキュレーター清水冴氏の「記憶を解く、編みなおす。」も今年10月に行われる予定です。
キュレーターには、自分のキュレーションを実験してみる機会が多いとは言えません。キュレーターが、実際の展覧会の企画から実施までを遂行することで、貴重な体験や新たな可能性を見出すことを願い、本公募を計画しました。古民家を改修したギャラリー無量で、「キュレーションによって展覧会はこうも変わるのだ」と思わせるような、キュレーターの意欲的・実験的なキュレーションを募集します。
ギャラリー無量
募集内容
キュレーターによるギャラリー無量の空間を活用した意欲的な展覧会企画を募集します。
審査により1名(1組)を決定します。
選出された企画は、2024年10月頃にギャラリー無量の企画展として実施します。
応募締切
2023年11月3日 [金]必着
*持参の場合は11月4日 [土] 17:00まで
応募資格
・国籍、年齢、性別、資格の有無(学芸員等)、経験の有無、個人、団体は問わない。
※事業に関する会議や打合せはすべて日本語で行います。
・入選した場合、展覧会の準備開催および撤去に至るまで責任をもって遂行できること。
・ギャラリー無量との連絡が円滑にとれること。
支援内容
1. 展覧会実施経費として35万円(諸税を含む)を支給
2. 展覧会会場としてギャラリー無量の建物、敷地提供
(搬入出期間を含む/その他の会場使用に関しては入選後調整 のうえ決定)
3. 審査員(アドバイザー)によるアドバイス
4. ギャラリー無量による展覧会実現までのサポート(展示作業 サポート)
5.広報及および宣伝協力(ギャラリー無量HPへの情報掲載、 印刷物送料等)
6.監視スタッフの手配および費用負担
選考方法
・審査員による書類選考・面談選考を行い、1組を選出。
*面談選考の日程:2023年11月5日[日] 14:00〜
・応募者全員に郵送にて結果通知(2023年11月中旬)。
選考スケジュール
【応募から選考までのスケジュール】
2023年08月01日(火) 応募開始
2023年10月07 日(土) トークイベント・事前説明会
2023年11月03 日(金) 応募締め切り
2023年11月05日(日) 審査(書類選考)(面談)
2023年11月中旬 審査結果通知
【事業実施スケジュール】
2023年11月下旬〜 (予定)数回の企画会議
2024年08月中旬 DM・ポスターデータ作成・発送
2024年09月下旬 展示設営
2024年10月05日(土) (予定)展覧会開催
2024年10月05日(土) (予定)関連事業(トークイベントなど)
2024年11月下旬 展示搬出
2025年1月下旬 記録集作成
審査員(敬称略)
尺戸智佳子
黒部市美術館学芸員
1979年生まれ
「山本優美 間−あわい−を読む」キュレーター
ギャラリー無量(2018)
「風間サチコ展 コンクリート組曲」(2019)
「風景と色設計室ホー 台所に立つ、灯台から見る」(2020)
「山下麻衣+小林直人「蜃気楼か。」」(2021)
「小林耕平 テレポーテーション」(2022秋開催予定)
審査員からのコメント
特色ある空間、とりまく環境(地域や社会)等から思考を展開させ、そこに作品が切り離しがたく結びついているもの。これを今、みなで共有することできっと何かの糧になると思わせられるような企画を楽しみにしています。
長谷川新
インディペンデントキュレーター
1988年生まれ
「無人島にて──『80年代』の彫刻/立体/インスタレーション」(2014)
「パレ・ド・キョート/現実のたてる音」(2015)
「クロニクル、クロニクル!」(2016-2017)
「不純物と免疫」(2017-2018)
「STAYTUNE/D」キュレーター ギャラリー無量(2019)
「約束の凝集」(2020-2021)
審査員からのコメント
この社会において私たちの生を拡張するような企画を心待ちにしています。他者とどのように対峙するか、(高解像度であっても低解像度であっても)その正確さが求められています。矛盾して聞こえるかもしれませんが、身ぎれいで整理されておらずとも一向に構わない、と思っています。
松江李穂
埼玉県立近代美術館 学芸員
キュレーション公募2020選定キュレーター
1994年生まれ
「Welcome, Stranger To This Place」共同キュレーター (2021)
「一歩離れて / A Step Away From Them」キュレーター ギャラリー無量 (2021)
「埼玉県立近代美術館アーティストプロジェクト#2.06 髙橋銑 いき、またいきる」ゲストキュレーター (2022)
「菊谷達史・前田春日美 影をしたためる」キュレーター (2022)
審査員からのコメント
それぞれが選んだ作品の魅力や、空間や立地の特殊性がもつポテンシャルを存分に引き出せるようなキュレーションを期待しています。そして何より、私たちが生きる社会への鋭い眼差しから生み出される展覧会をぜひ見てみたいです。
鷲田めるろ
十和田市現代美術館 館長
東京藝術大学大学院 准教授
1973年生まれ
元金沢21世紀美術館キュレーター(1999-2018)
第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
日本館キュレーター(2017)
「越後正志展 loophole 」キュレーター ギャラリー無量(2017)
あいちトリエンナーレ2019キュレーター
「インター+プレイ」キュレーター(金澤韻との共同) (2020-22)
審査員からのコメント
ギャラリー無量の特殊性(都市部から離れ自動車でないと行きにくい立地、散居村の伝統的な日本家屋を改装した空間、仲間に支えられながらの個人による運営、それゆえの限られた予算)を最大限に生かした企画案を期待します。
応募方法
以下より各様式をダウンロードの上、下記Ⅰ~Ⅲの書類一式を下記送付先まで提出してください。
Ⅰ. 応募用紙(様式1)
Ⅱ.企画書(様式自由。応募用紙とは区別し、下記項目についてA4用紙4枚以内にまとめる)
・展覧会企画趣旨
・出展予定作家及び作品案
・出展予定作家の詳細
・会期中の関連事業
Ⅲ. 予算書(様式2)
※提出された応募書類は原則として返却しません。
※宅配便、レターパック、簡易書留等の送付記録が残る方法で送付してください。
※封筒に「キュレーション公募2024応募書類在中」と朱書きしてください。
応募書類の送付先
〒932-0315
富山県砺波市庄川町示野233番地
ギャラリー無量
関連企画・事前説明会
トークイベント「キュレーションについて」
日時:2023年10月7日[土]
15:00 – 16:00 ※入場無料・申込不要
会場:ギャラリー無量
出演:松江李穂(埼玉県立近代美術館 学芸員・キュレーション公募展2020 選定キュレーター
※トークイベント終了後、応募を検討されている方を対象に、会場下見や応募に関する質疑応答を行います(30分程度)。
※キュレーター公募にあたり、事前説明会への参加は必須条件ではありません。
キュレーション公募2023選定キュレーション
「記憶をほどく、編みなおす」
開催期間: 2023年10月7日[土] – 11月6日[月]
10:00 – 12:00/13:00 – 17:00
土・日・月のみ開廊
キュレーター:清水冴
アーティスト:石田愛莉、中森あかね、ジョイス・ラム、
O33、富山妙子(特別出品)
(アルファベット順)
本展では、東アジアにルーツを持つ現代美術作家たちが、それぞれの幼少期の記憶や経験をひもとき、語りなおすことで、社会の周縁の物語を人びとに想像させるでしょう。すべての人が人間としての尊厳を持って生きられる社会のために、私たちには「他者」の言葉にならない違和感、不安、悲しみや痛みを想像する力が必要です。作家たちの物語のなかに、自己と響き合う「何か」を見つけてほしいと思います。
[関連行事]
アーティストトーク: 2023年10月7日[土] 13:00 – 15:00
読書会: 2023年10月21日[土] 10:30-12:00
宮地尚子著『環状島=トラウマの地政学』(2007、みすず書房)
喪失のダイアローグ: 2023年10月28日[土]14:00-15:30
展覧会評: レベッカ・ジェニスン氏(京都精華大学人文学部名誉教授)
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