*公募は終了しました。
審査結果
この度、ギャラリー無量の「キュレーション公募2023」にご応募いただきまして、誠にありがとうございます。また、応募書類など送付いただき、重ねてお礼申し上げます。当ギャラリーとしては2度目の試みであり、コロナ禍の企画でもあるのでどのような受け止め方をしていただけるのか、心配しておりました。しかし、応募していただいたキュレーションはどれも素晴らしい内容であり、レベルの高いキュレーションの試みなど意欲的な企画が多く寄せられました。皆様のご意欲に心から感謝申し上げたいと思います。
以下に「キュレーション公募2023」の審査結果を通知いたします。
選出されたキュレーション企画
キュレーター:清水 冴
企画展名:「あわいを縫う(仮)」
審査内容
①審査員 尺戸智佳子 長谷川新 松江李穂 鷲田めるろ
②審査日 2022年11月27日(日)
③審査会場 ギャラリー無量
④審査方法 どれも素晴らしい内容であり1次審査と2次審査の段階を経ず、最終3案を絞り込みその比較により候補を決める審査方法へ変更しました。
⑤応募総数 7通
⑥発表方法 選定された一篇、総評はHPで発表します。今回の選定にもれた方には個別に結果、総評、個別講評を郵送する方法をとります。
総 評
尺戸智佳子
黒部市美術館学芸員(2014〜)
7通全ての企画から大きな熱意が伝わってきてチャレンジする気持ちを受け取り私自身も励みになりました。様々な年齢層の各人が、誰かの言葉ではなく個の経験や思考からアイデアを発展させていたことに共感を持ちました。そして、アジアを中心に国際的な作家の選定も数件あり、それぞれに設定された問いや関心は、地方のギャラリーと様々な世界との接点が感じられるものでした。審査では、地域や建物を含む場の必然性、予算配分の妥当性、趣旨の明確さなどを考慮しました。その上で、作家と問題意識を共有し、芸術の力を信じ、生きるための想像力の拡張が感じられた点において清水さんの企画を選びました。
長谷川新
インディペンデントキュレーター
今回は多様な世代からの応募がありとても充実した審査となりました。前回よりも(思い切りが良いというよりは)やや強引な企画案が散見され、ギャラリー無量で行うことへの想像力を働かせて欲しいと思いました。言うなれば、しっかりとした芯を持ちつつも変化していけるような企画を推したいと考えました。ここでいう「変化」の対象は、鑑賞者、企画者、作家、作品、無量の空間のすべてです。最終3案にまで絞りこまれ議論を重ねましたが、企画内容を最も高い水準で提示した清水案を推しました。
松江李穂
キュレーション公募2020
選定キュレーター
共同キュレーションの案や個展の案、ワークショップを複合した案などアイディアに溢れた企画内容が多く一つに絞るのが難しかったです。最終候補に残ったものは、どれも社会的なテーマを内包しているもので甲乙付け難かったのですが、古民家でありながら現代美術のギャラリーである展示空間の活かし方や、個別的な作家や作品を選んだ必然性を企画案の中でどれほど説明できているのかでそれぞれ差がついたかなという印象です。
鷲田めるろ
十和田市現代美術館館長
それぞれ特徴ある案で、前回よりもさらにレベルの高い案が多かったと思いました。なかでも、最終的に選んだ清水冴さんの案と迷い、いずれも実現したいと思った案も2案ありました。そのなかで、清水さんの案はバランスがよく、実現可能性の高い基礎となる部分を押さえつつも、新作や物故作家の作品を組み合わせようとする挑戦を評価しました。また、前回と同様、アーティストがキュレーターとして自作を展示する提案に対しては、「キュレーション公募」ということで、キュレーションの要素を私は重視しました。またギャラリー無量でやる意味を感じさせる提案をより高く評価しました。
公募概要
企画概要
「キュレーション公募展2023」では、キュレーターによる企画案を募集します。
全国でいろいろな展覧会が行われ、記憶の中に留まるものや忘れ去られていくもの、多くの展覧会が消費されていきます。ますます展覧会展開のスピードは速くなり、観客が置き去りにされ前のめりなっているかのようにさえ思われます。そして今、時代の大きな転換期(コロナ禍・ウクライナ侵攻)を迎えている時、根本から展覧会のあり方を再考する場面に立たされています。キュレーションの可能性の再考はもちろんのこと、社会との関わり方や展覧会へ至るまでの過程を重視するキュレーションも多く展開されようとしています。
昨年、コロナ禍で1年間延期となった第1回「キュレーション公募展2020」を実施致しました。選定されたキュレーター松江李穂氏の「A STEP AWAY FROM THEM 一歩離れて」です。人や物との距離を置くことが声高に叫ばれた時期だからこそ、一歩離れた=少し距離をおいた、いつもとは違った視点を取り入れることの大切さを強く意識したキュレーションでした。数多くの展覧会と向き合うことを重ねてきた若きキュレーター が、4名のアーティストとの2年間に及ぶコミュニケーションの継続を図り、互いの理解を深め、共同作業を通して作り上げた展覧会でした。ギャラリー無量(地方・富山)で展示する事の意味を問い続けたアーティスト達の参加が、キュレーションのレベルを上げていたことに結びついたのも印象的です。松江李穂氏の取り組みは、「記録集」として集約される予定です。
キュレーションの新しい方向が、今、美術界で問われています。しかし、キュレーターには、自分のキュレーションを実験してみる機会が多いとは言えません。キュレーターが、実際の展覧会の企画から実施までを遂行することで、貴重な体験や新たな可能性を見出すことを願い、本企画を計画しました。古民家を改修したギャラリー無量で、「キュレーションによって展覧会はこうも変わるのだ」と思わせるような、キュレーターの意欲的・実験的な企画を募集します。
ギャラリー無量
募集内容
キュレーターによるギャラリー無量を活用した意欲的な展覧会企画。
審査により1名(1組)を決定。
応募締切
2022年11月25日(金)必着
*持参の場合は26日(土)20:00まで
応募資格
・国籍、年齢、性別、資格の有無(学芸員等)、経験の有無、個人、団体は問わない。
※事業に関する会議や打合せはすべて日本語で行います。
・入選した場合、展覧会の準備開催および撤去に至るまで責任をもって遂行できること。
・ギャラリー無量との連絡が円滑にとれること。
支援内容
1. 展覧会実施経費として35万円(諸税を含む)を支給
2. 展覧会会場としてギャラリー無量の建物、敷地提供
(搬入出期間を含む/その他の会場使用に関しては入選後調整 のうえ決定)
3. 審査員(アドバイザー)によるアドバイス
4. ギャラリー無量による展覧会実現までのサポート(展示作業 サポート)
5.広報及および宣伝協力(ギャラリー無量HPへの情報掲載、 印刷物送料等)
6.監視スタッフの手配および費用負担
選考方法
2022年11月27日(日)から書類選考・面談選考1組を選定
(12月中旬から12月下旬 応募者全員に郵送にて結果通知)
選考スケジュール
応募から選考までのスケジュール
2022年9月1日(日) 応募開始
2022年10月9日(日) トークイベント・事前説明会
2022年11月25日(金) 応募締切
2022年11月27日(日) 審査(書類選考・面談)
2022年12月中旬〜下旬 審査結果通知
事業実施スケジュール
2022年12月下旬〜 (予定)数回の企画会議
2023年8月中旬 DM・ポスターデータ作成・発送
2023年9月下旬 展示設営
2023年10月7日(土)〜 (予定)展覧会開催
11月27日(月)
2023年10月7日(土) (予定)関連事業
(*トークイベントなど)
2023年11月下旬 展示搬出
2024年1月下旬 記録集作成
審査員(敬称略)
尺戸智佳子
黒部市美術館学芸員(2014〜)
1979年生まれ
「山本優美 間−あわい−を読む」キュレーター
ギャラリー無量(2018)
「風間サチコ展 コンクリート組曲」(2019)
「風景と色設計室ホー 台所に立つ、灯台から見る」(2020)
「山下麻衣+小林直人「蜃気楼か。」」(2021)
「小林耕平 テレポーテーション」(2022秋開催予定)
審査員からのコメント
特色あるギャラリー無量の空間を活かし、様々な気づきを与えられ感覚が刺激されるような企画を楽しみにしています。
長谷川新
インディペンデントキュレーター
1988年生まれ
「無人島にて──『80年代』の彫刻/立体/インスタレーション」(2014)
「パレ・ド・キョート/現実のたてる音」(2015)
「クロニクル、クロニクル!」(2016-2017)
「不純物と免疫」(2017-2018)
「STAYTUNE/D」キュレーター ギャラリー無量(2019)
「約束の凝集」(2020-2021)
審査員からのコメント
この社会において私たちの生を拡張するような企画を心待ちにしています。他者とどのように対峙するか、(高解像度であっても低解像度であっても)その正確さが求められています。矛盾して聞こえるかもしれませんが、身ぎれいで整理されておらずとも一向に構わない、と思っています。
松江李穂
キュレーション公募2020選定キュレーター
1994年生まれ
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻修士課程在籍(2020〜)
埼玉県立近代美術館臨時的任用学芸員(2021年度)
「Welcome, Stranger To This Place」共同キュレーター (2021)
「一歩離れて / A Step Away From Them」キュレーター ギャラリー無量 (2021)
「埼玉県立近代美術館アーティストプロジェクト#2.06 髙橋銑 いき、またいきる」ゲストキュレーター (2022)
「菊谷達史・前田春日美 影をしたためる(仮)」キュレーター (2022)
審査員からのコメント
それぞれ選んだ作家の作品や、空間のポテンシャルを存分に引き出せるようなキュレーションの内容やテーマを期待します。キュレーションとは何かという根源的な問いにまで踏み込むような展覧会も見てみたいです。
鷲田めるろ
十和田市現代美術館館長
1973年生まれ
元金沢21世紀美術館キュレーター(1999-2018)
第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
日本館キュレーター(2017)
「越後正志展 loophole 」キュレーター ギャラリー無量(2017)
あいちトリエンナーレ2019キュレーター
「インター+プレイ」キュレーター(金澤韻との共同) (2020-22)
審査員からのコメント
ギャラリー無量の特殊性(都市部から離れ自動車でないと行きにくい立地、散居村の伝統的な日本家屋を改装した空間、仲間に支えられながらの個人による運営、それゆえの限られた予算)を最大限に生かした企画案を期待します。
応募方法
以下より各様式をダウンロードの上、下記Ⅰ~Ⅲの書類一式を下記送付先まで提出してください。
Ⅰ. 応募用紙(様式1)
Ⅱ.企画書(様式自由。応募用紙とは区別し、下記項目についてA4用紙4枚以内にまとめる)
・展覧会企画趣旨
・出展予定作家及び作品案
・出展予定作家の詳細
・会期中の関連事業
Ⅲ. 予算書(様式2)
※提出された応募書類は原則として返却しません。
※宅配便、レターパック、簡易書留等の送付記録が残る方法で送付してください。
※封筒に「キュレーション公募2023応募書類在中」と朱書きしてください。
応募書類の送付先
〒932-0315
富山県砺波市庄川町示野233番地
ギャラリー無量
関連企画・事前説明会
トークイベント「キュレーションについて」
日時:2022年10月9日(日)
15:00 – 16:00 ※入場無料・申込不要
会場:ギャラリー無量
出演:松江李穂/キュレーション公募展2020 選定キュレーター
※トークイベント終了後、応募を検討されている方を対象に、会場下見や応募に関する質疑応答を行います(30分程度)。
※キュレーター公募にあたり、事前説明会への参加は必須条件ではありません。
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