森田志宝 個展
滴を育てる/Growing drops
会期|2021.8.20{金} ー 9.12{日} 休館日は月・火・水・木曜日
開催時間|10:00〜12:00 13:00〜17:00
開催方法|1時間あたり6名までの事前予約制
予約方法|予約ページから予約をして下さい
入場料|無料
森田志宝 展覧会コンセプト
作家活動を行う一方で、
山中塗(石川県加賀市)と呼ばれる漆器の産地で
漆職人の仕事を始めて6年目になる。
主に木のお椀に漆を塗る日々を積み重ね、
漆の仕事は一本の木から始まっていることを強く意識するようになった。
漆は漆の木の樹液であり、10~15年ほどかけて育てられた木から
わずか200gしか採取できない貴重なものである。
また、漆器に用いられる多様な木材に触れて
それぞれの木の特性を理解し、
時に問題と向き合いながら漆器が作られていることを知った。
本展覧会「滴を育てる/Growing drops」は
漆と木をテーマに、漆糸、漆器を通して表現する。
蔵では、漆糸の制作実験(漆滴とその成長過程)を実際に見ることができる。
一本の木の命と引き換えに採取された漆が再び木に還るように。
森田志宝 経歴
森田 志宝 / MORITA Shiho
1990 京都府出身
2013 富山大学 芸術文化学部 卒業
2016 富山大学 大学院 芸術文化学研究科 修了
個展
2017 「こびりついた偶然」Ohshima Fine Art /東京
2019 「漆の表面張力」KUNSTARZT/京都
「漆雫」穂上画廊/富山
2021 「滴の放流」KUNSTARZT/京都
グループ展
2013 「recollection~素材と時間~」ギャラリー無量
2015 「Boundary line」ギャラリー無量
「神通峡美術展」旧小羽小学校 /富山
2016 「FINE ART/UNIVERSITY SELECTION 2016-2017」茨城県つくば美術館
2017 「雲の上の展覧会」富山市民プラザ
2018「アートの今」 アートハウスおやべ
2019「つつみ-みえるとみえない、作品展」富山市民プラザ
賞歴
2015 「神通峡美術展」インスタレーション部門 奨励賞
2016 修了制作 漆工奨学賞
2017 「アートハウスおやべ現代造形展」大賞
森田志宝は、「漆糸※注1」を空間に解き放つ。
森田志宝は、漆のインスタレーションを展開する現代造形作家である。
傷つけられた漆木が自らを治療するために染み出す樹液、それが漆。漆は自己免疫力のアップを、湿気を媒介にした「酵素酸化=硬化」で行う。ダメージを受けた漆木は漆に守られ静かに治癒を待つ。治癒を脅かす者には「近寄るな」と激しくアタック(気触れる)する。
場所の湿り気を媒介に、防衛的であり攻撃的である漆玉を定着させ「漆糸」を作る。そこから森田志宝の全てが始まる。
コロナ感染と免疫の作用に右往左往する今、森田志宝の「漆糸」の問いかけは何なのか。夏の散居村、扇状地の湿り気の中で体感あれ。
※注1「漆糸」
絹糸に漆加工した糸のことを指す。糸に漆を塗ると、周りの水蒸気で酵素酸化が始まり漆は硬化する。この繰り返しが漆玉を糸に生み出す。漆玉の連続が織りなす糸を、森田志宝は「漆糸」という。
(ギャラリー無量 2021.7.9)